お酒の販売には免許が必要!?

酒類販売業免許のテキスト

近年は、クラフトビール人気などの影響もあり、様々なお店がお酒の販売をしています。
そのため、これからお酒の専門店を出店したい方や、新規事業としてお酒の販売業に参入したい既存事業者様も多いのではないでしょうか。
今回は、お酒の販売に必須の酒類販売業免許について詳しく解説していきたいと思います。

免許が必要になるお酒の販売とは?

酒税法によると、営利目的かどうかや、特定又は不特定の者に販売するかどうかは問わず、継続して酒類の販売を行うには、販売場ごとに「酒類販売業免許」を受けなければならないとされています。

継続した販売、つまり繰り返しお酒の販売を行うには、販売しようとする場所ごとに「酒類販売業免許」が必要になります。
ただ、明確に販売回数などが定められている訳ではありません。
たまに、「何回目から継続した販売になりますか?」というご質問をいただくのですが、何回目からという事ではなく、たとえ1回の販売であっても反復継続する意思があれば、継続した販売となります。
例えば、酒屋を開業したいのに最初の1本目は継続的な販売に当たらないから免許は不要、なんて事はナンセンスだとお分かりいただけると思います。

一方、ご家庭で不要になったお酒をフリマアプリやネットオークションなどで販売する場合や、リサイクルショップで買い取ってもらう場合は継続した販売には当たりませんので、原則免許は不要です。
自分で飲む目的で買ったお酒や、プレゼントで貰ったお酒などはあくまで飲用目的であり、繰り返し販売する目的で仕入れた訳ではありませんので、免許は不要ということです。
ただ、不要になったお酒が複数本あり、フリマアプリなどで複数回に分けて販売する場には、税務署の判断によっては継続した販売とされる場合も考えられますので、注意が必要です。
不要なお酒が複数本ある場合などは、専門の行政書士に相談する事をお勧めいたします。

無免許でお酒を販売したら罰則はあるの?

酒類販売業免許を受けずに繰り返し酒類の販売をした場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
近年は、コロナ禍による巣ごもり需要の広がりの影響もあり、無免許で繰り返しお酒の転売をしていた主婦や会社員などが多数摘発されるなど、ニュースで度々報道されるようになりました。
当然ですが、知らなかったは通用しません。
お酒を販売する場合には、必ず前もって免許が必要な販売行為なのかを確認する必要があります。

酒類とは

それでは、酒類販売業免許が必要となる酒類とはどういったものを指すのでしょうか。
酒税法によると、酒類とはアルコール分1度以上の飲料(アルコール事業法等の適用を受けるものは除く)と定義されています。

酒類は、製法や性状によって大きく発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類及び混成酒類の4種類に分類され、基本税率が定められています。
さらに、その中で17品目の酒類に分類され、品目ごとに異なる税率が定められています。
この17品目は、免許条件にも関係しますので、酒類販売業免許取得の際は、ご自身の販売したいお酒がどの品目に分類されるのかを確認しておく事が大切です。

酒類販売業免許の区分

「酒類販売業免許」は、販売するお酒の品目や販売先、販売方法などによって細かく区分されています。
一言で酒類販売業と言っても、コンビニやスーパー、ネットショップにリサイクルショップなど様々な業態が考えられますが、事業内容によって必要な免許が変わってきます。
もし、間違った区分の免許を取得してしまった場合、予定しているお酒を販売できなかったり、想定している相手に販売できないという事態に陥ってしまいますので、ご自身の事業内容に合った免許を確認する必要があります。

酒類販売業免許は、大きく小売業免許と卸売業免許に区分されます。
これは、お酒の販売先によって区分されており、一般消費者や飲食店、菓子製造業者などへ販売する場合は小売業免許、酒類販売業者(酒屋)へ卸売する場合は卸売業免許が必要になります。
よく勘違いされている方がいらっしゃるのですが、上記のとおり飲食店への販売は小売業免許が必要で、卸売業免許では販売できません。
飲食店へ販売する業態を「業務用卸主体店」と言いますが、酒類販売業免許上は卸売業者ではなく小売業者ということになります。

さらに、販売方法や販売できるお酒の品目などによって、小売業免許の中で3種類、卸売業免許の中で8種類の免許に区分されています。

酒類小売業免許酒類卸売業免許
一般酒類小売業免許全酒類卸売業免許
通信販売酒類小売業免許ビール卸売業免許
特殊酒類小売業免許等洋酒卸売業免許
輸出入酒類卸売業免許
店頭販売酒類卸売業免許
協同組合間酒類卸売業免許
自己商標酒類卸売業免許
特殊酒類卸売業免許

「酒類販売業免許」を取得するための要件

ここからは、酒類販売業免許を取得するために必要な申請要件についてご説明いたします。
酒類販売業免許を取得するためには、申請者及び申請販売場(酒類の販売場を設置しようとする場所)が、酒税法で定められた要件を満たす必要があります。
これらの要件は大きく 4つに区分され、全ての要件を満たさない限り酒類販売業免許は取得できません。

人的要件

酒税法の第10条1号から8号では人的要件が規定されています。
酒税法関係法令違反での免許取消や刑罰を受けていないか、暴力団の構成員でないこと、申請者等が過去2年以内に国税又は地方税の滞納処分を受けていないことが申請要件となります。
法人においては、その役員全員が審査されます。

場所的要件

酒税法の第10条9号では場所的要件が規定されています。
酒類販売業免許は、お酒を販売する場所(販売場)ごとに申請する必要があるのですが、その販売場について申請者が利用できる権限を持っていることが申請要件となります。
また、原則として酒類の製造上、酒類の販売場、酒場、旅館、料理店等ではないことも申請要件とされています。(※料理店等と販売場が明確に区分されている場合は、免許交付される場合もあります。)

経営基礎要件

酒税法の第10条10号では経営基礎要件が規定されています。
経歴や経営能力、販売能力、所要資金等が十分に備わっていることが必要です。
具体的な内容については、法令解釈通達によって現に未納の税がないことや、申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けていないこと等が定められています。
また、法人の場合は決算要件があり、債務超過でないこと、資本等の合計額の20%を超える当期純損失を3期連続で計上していないことが申請要件となります。

経営基礎要件は、免許の種類ごとに細かく定められていますので、申請する際は免許ごとに要件の内容を確認する必要があります。

需給調整要件

酒税法の第10条11号では需給調整要件が規定されています。
酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持するための要件となります。
需給調整要件につきましても、免許ごとに要件が定められていますので、申請しようとする免許ごとに確認する必要があります。

申請先や免許取得にかかる期間はどれくらい?

申請書の提出先や免許取得にかかる期間はどのくらいなのでしょうか?

申請先

酒類販売業免許の申請書は、お酒の販売場所(販売場)を管轄する税務署に提出します。
例えば、法人の申請で本社と販売場が別の場所にあり、管轄する税務署が異なる場合、上記のとおり販売場を管轄する税務署に提出することになります。
申請書は郵送での提出も可能となっておりますので、遠方に販売場を設ける場合でも直接税務署に出向く必要はございません。

標準処理期間

審査にかかる期間(標準処理期間)は、2か月以内と規定されています。
ただ、この審査期間は書類に不備がなかった場合の審査期間ですので、申請書の内容に訂正箇所があったり、追加資料を求められたりして書類の準備に時間がかかった場合には、2か月を超える場合もございます。
申請書類の準備期間を含めると、順調に進めていけた場合でも免許取得までには概ね2か月半から3か月程度かかります。
店舗のオープン日がすでに決まっている場合は、逆算して申請書の準備を進めていかなければオープン日に間に合わないケースも考えられます。
お急ぎの場合は、専門の行政書士にご相談することをお勧めいたします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、酒類販売業免許についてご説明いたしました。
繰り返しお酒の販売を行うには免許が必要だけれど、酒類販売業免許の申請は分かりづらく、申請の手引きを読んでも中々理解できないこともあるかと思います。
弊所では、初回相談無料でどんなことでもお答えいたします。
酒類販売業免許をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

オーネスト行政書士事務所
行政書士 滝口 重遠
TEL:047-401-0780

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